豆知識 双子の説明


 とりあえず、「詳しいことは説明しない」と冒頭に書きましたが、基本的なことだけは説明しないと不親切(^^;・・・ですので、簡単に説明しておきます。

 一般に「双子」といえば、「そっくり」「うり二つ」という認識を持っている方が多いと思います。

 しかし、確かに「そっくりな」双子は多いですが、「そっくりではない」「全然似ていない」双子も存在します。

 そっくりな双子は「一卵性双生児」、似ていない双子は「二卵性双生児」といいます。


 一卵性というのは、その名の通り・・・元々1人の人間になるはずだった1つの受精卵が、何らかの原因によって2つに別れてしまい、そのままそれぞれ育ち、2人の人間として生まれてきた・・・という双子です。元々同じ1つの受精卵ですから、遺伝的には全く同じ2人です。


 一方、二卵性というのは・・・普通母親は卵子を排卵の時に1つずつしか出さないのに、何らかの原因によって2つ排卵してしまい、それがそれぞれ受精し、育ち、2人の人間として生まれてきた・・・という双子です。排卵誘発剤などを使うとこの現象が起きやすくなるのですが・・・この時3つの卵が受精したら三つ子、4つだったら四つ子、となります。

 この場合、遺伝的には兄弟と同じです。単に、同じ時期に生まれてきたというだけの兄弟であって、兄弟としての相似は当然ありますが、それ以上でも以下でもありません。
 



 
 では、一卵性と二卵性の双子は、一体どれくらいの割合で生まれ、どちらが多いのでしょう?

 現代の日本では、出産1000に対して、1997年の統計では9組ほど双子が生まれています。
 ただし、1975年前後の時点では、双子の組数は6組ほどです。

 なぜ近年になって双子の出生率が上がっているのかといえば、不妊治療の進展に伴い、二卵性の双子の出生率が増えているからです。
 今までは一卵性の1/2程度しかなかった二卵性の出生率が、ここ最近は一卵性を追い抜く勢いで急激に伸び、一卵性と二卵性の率がほぼ半々程度までになっています。


 とはいえ、日本人全体から双子の割合を見れば、だいたい一卵性2に対して二卵性は1の割合です。
 今後、2、30年経てば、二卵性双子が増えた世代が台頭してきて、二卵性双子も当たり前の存在になるのかもしれませんが・・・・・少なくとも今の日本では「二卵性の双子」は数少ない存在です。
 



 
 ただ、日本では二卵性双生児は少ないですが、海外に目を向けてみるとまた事情が違ってきます。

 欧米、アフリカなどでは双子の出生率が日本よりも高く、ある特定の地域では10人に1人が双子の一方、というほどの高い双子出生率になっているところがあります。
 逆に言うと、日本の双子出生率は世界的に見て低い、ということになりますが。

 ただし、それらの双子のほとんどが一卵性であるわけではありません。

 「一卵性双生児」が生まれる確率は、人種や民族に関わらず、たいてい一定して同じ程度の割合でしか生まれない・・・・・・・・ものだからです。(出産1000に対して3、4組)

 日本以外の国で双子の割合が高いのは、二卵性双生児の割合が多いということなのです。

 二卵性の双子を生みやすい、複数排卵しやすいという人はある一定数存在します。
 未経産婦より経産婦の方が複数排卵するホルモンを出しやすいらしく、また母系を伝わる遺伝的な要素も存在するようです。

 日本人の場合、複数排卵する人の割合が、民族的に少ない・・・・・だから、二卵性の割合がかなり少なかったようです。

 また、憶測の域を出ていない説?なのですが、一卵性を生みやすい(多胚化)遺伝的な要素もあるらしく、これは父系、母系、両方とも伝わり、関連のない集団よりも出現頻度が高い、ようです。
(これがその通りであれば、一卵性の出現頻度が民族によってもっと偏ってもよさそうなものですが)




 
 ところで、日本では一卵性双生児の方が多いとはいえ、なぜ世間では「双子=そっくり」という認識がこれほどまでに蔓延してしまっているのでしょう?

 それは、双子に関する正しい知識を持たない作者が書いた、小説、ドラマ、マンガ、アニメ・・・・・・TVでやる「双子特集」・・・などのせいで、「双子というのはこういうものだ」と思いこんでしまうからです。

 一卵性の双子を使うと、ドラマが盛り上がる・・・・・というのは、認めます(^^;;;

 でも、一卵性の双子と同じような感覚で、そっくりな「三つ子」や「六つ子」、はては「十二つ子(笑)」を扱うのは、かなり問題だと思うんですが・・・・・。


 三つ子として有名なのは・・・・・「魔法使いサリー」の、友達(よしこちゃんでしたっけ)の弟たち・・・・・でしょうか(^^;
 六つ子として有名なのは、「おそ松くん」・・・かな。
 十二つ子は、森永のチョコレート、「ダース」のCM。


 ただまぁ、これらは「ギャグ」ですから、それほど目くじらたてる必要はないかなぁ・・・と、思います。
 でも、これによって、双子はもちろんそれ以上の多胎はすべてそっくりだ、という認識が広がっている点は否めません。真剣に「双子とは・・・」「三つ子とは・・・」と、考える人は少数でしょうから(苦笑)。


 ただし・・・・・・・「ギャグではなく三つ子などを扱っている」話があることは、問題です。

 「一卵性双生児のアリバイづくり」を変形加工したような、推理話の要素として出てくる場合がそれです。

 私が見かけた話としては、「名探偵コナン」というマンガの第13巻に出てくる「そっくりな顔の三つ子の兄弟を利用した話」があります。

 ・・・・・単に「顔がそっくりな兄弟」というのは現実にもいるでしょう。
 でも、「三つ子だから顔かたちがすべてそっくりな兄弟」というのは、現実にはほぼ有り得ません。
(とはいえ「一卵性双生児になった卵が、更にもう一度分割して3つになった」という状態の三つ子・・・一卵性状態の三つ子も、確率としてはありえます。但し、それは極々稀な例外です)

 なのに、なぜ「そっくりな3人兄弟」を利用した話ではなく、わざわざ「三つ子」なのか?

 作者本人が、「双子、それ以上の多胎児は、顔かたちがそっくりなものである」と思いこんでいる可能性も高いですが、それに加えて「読者の三つ子などに対する幻想を利用しよう」という気持ちもあったかもしれません。


 「顔がそっくりな兄弟」というのを出すと、必ずと言っていいほど「双子(3人だったら三つ子)でしょう?」という読者の反応が多数来ます。

 逆に、そっくりな顔なのに「双子(三つ子)ではない」、という兄弟を出すと、「なぜ双子(三つ子)ではないんだ!」という抗議が来ます。

 「そっくりな顔の三つ子なんて、あるわけない」などという抗議は、ほとんどないはずです。

 故に、「双子や三つ子に対する人々の幻想を利用して話を作る」作者、「ただ双子に対するあこがれだけで、よく調べないまま双子などを取り扱う」作者・・・・・というものが多量に存在する、と。


 これは、男女の双子に対しても、同様の誤解を生じさせる悪循環が出来上がっています。

 それについては、次のページへどうぞ。

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